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過去の記事

2026.09.11
スタッフの日々徒然

欧米には健康診断がない?


「欧米には、日本のような健康診断がない」

そんな話を聞いたことはありませんか?

日本では、
会社員であれば

毎年健康診断を受けることが
ごく当たり前になっています。

・身長、体重、血圧
・血液検査
・尿検査
・胸部レントゲン
・心電図

これだけ毎年身体を調べるのですから、

「欧米では毎年健康診断をしない」

と聞けば、

「病気の早期発見はどうするのだろう?」

と不思議に思います。

そこで実際に調べてみました。

結論からいうと、

欧米にも、
健康チェックや
がん検診はあります。

ただ、日本の健康診断とは、
やり方も考え方も違うのです。

 

イングランドは5年に1回

イングランドには、
「NHS Health Check」という
公的な健康チェックがあります。

対象となるのは
原則40~74歳で、

心疾患、糖尿病、高血圧などの
診断を受けていない人です。

健康チェックでは、
心臓病、脳卒中、糖尿病、腎臓病などの
リスクを評価します。

その頻度は原則として、
「
5年に1回」です。

※英国では地域ごとに医療制度が異なり、
「NHS Health Check」は
 イングランド独自の制度です。


ドイツは3年に1回

ドイツにも、
「Gesundheits-Check-up」と呼ばれる
健康チェックがあります。

公的医療保険の加入者であれば、

18~34歳の間に1回、
35歳以上になると3年に1回

受けることができます。

なお、18~34歳の場合、
血液検査は全員対象ではありません。

肥満、高血圧、本人や家族の既往歴など、
リスクが高い人限定で
実施されます。


アメリカでは「検査の科学的根拠を問う」


アメリカにも、
健康チェックそのものはあります。

しかし、
予防医療を考えるうえで
非常に象徴的なのが、

「USPSTF(米国予防医学専門委員会)」
という独立した専門家組織です。

USPSTFは、
症状のない人に行う
さまざまな予防医療について、

「その検査を行うことで、
 本当に患者に利益があるのか」

を科学的根拠に基づいて
評価しています。

評価は非常にはっきりしています。

・評価「A」「B」→推奨

・評価「C」→全員ではなく、その人の状況や希望によって選択

・評価「D」→利益がない、または害が利益を上回るため「推奨しない」

・評価「I」→科学的根拠がまだ十分ではない

ここには、

「検査できるから検査する」
 のではなく、
「検査することに意味があると
 わかっているから検査する」

という考え方があります。

 

イギリス「スクリーニングが常に答えとは限らない」

 

イギリスの
「UK National Screening Committee」は、

国としてどのようなスクリーニングを
実施するかを検討する機関です。

(スクリーニング=現在無症状の人が、特定の病気である可能性を調べる検査)

その基本原則は、

一連の検査・診断・治療による利益が、
害を上回るという証拠がある場合にのみ行う。

という考え方です。

ここでいう「害」とは、

・偽陽性
・過剰診断
・過剰治療
・検査による不安 などです。

イギリス政府の説明には、

「Screening is not always the answer
(スクリーニングが常に答えとは限らない)」

という趣旨の項目まであり、
スクリーニングに対する慎重な姿勢が
うかがえます。

 

健康な人を調べるからこそ、慎重になる


各国が健康診断やスクリーニングに
慎重になる理由を、
少し深掘りしてみましょう。

現在、特に病気の症状を持たない集団
1,000人の中に、

ある病気を持つ人が1%、
つまり10人いるとします。

ある検査の性能が、

・病気の人を正しく陽性にできる確率 90%
・健康な人を正しく陰性にできる確率 95%

だったとします。

数字としてみると、
かなり精度の高そうな検査ですね。

この検査を
1,000人全員が受けると、

病気の10人のうち、
約9人が陽性になります。

一方、
病気ではない990人のうち5%、
約50人も陽性になります。

すると「陽性」と判定された人は、

9人+50人=59人。

59人中、
本当に病気なのは9人です。

陽性になった人の大部分は、
実際には病気ではありません。

これが、
健康な人を大量に検査するときに
起こり得る問題です。

このような
「偽陽性」の問題に限らず、

検査によって
見つかった異常は本物でも、

その人が生涯知らずに
過ごしたとしても

無症状のままだった可能性のある
病変まで見つけ、

本来必要のなかった
検査や治療によって、

身体的・心理的な負担が
生じ
てしまう

「過剰診断」なども
問題視されています。

 

日本の健康診断はなぜ行われる?


日本では、
労働安全衛生規則によって、

事業者は常時使用する労働者に
原則「1年以内ごとに1回」の

定期健康診断を行うことが
義務づけられています。

毎年大量の人が健康診断を受ける
日本の制度は、

欧米と比べて
“遅れている”のでしょうか?

実は、
日本の会社員が受ける
定期健康診断には、

「労働衛生」という
もう一つの役割があります。

厚生労働省は、
定期健康診断の目的について、

労働者の健康状態を把握し、
必要に応じて労働時間を短縮したり、
作業を変えるなどの措置を行い、

脳・心臓疾患の発症や
生活習慣病の悪化を防ぐこと、
などを挙げています。

単に病気を発見するだけでなく、
使用者による労働環境の改善を
重要な目的にしているのです。

 

「検査しない」のではなく、「何を検査するかを選んでいる」

 

こうして各国の制度を見てみると、
米国や英国にも、
予防医療が存在するのがわかります。

ただ、予防医療に向ける視線は、
日本とは少し異なることがわかります。

健康な人に医療行為をするからこそ、
その利益を厳しく問う。

・病気が見つかるか
・見つけたことで治療が変わるか
・治療によって将来が変わるか
・死亡や重い病気が減るか
・利益は、偽陽性や過剰診断、過剰治療などの不利益を上回るか

そこまで考えて、

「誰を、
 何歳から、
 どれくらいの間隔で調べるのか」

を決めています。

ドイツで35歳未満の血液検査を
リスクのある人に絞っていることも、
この考え方が土台にある証です。

 

その予防医療、利益はありますか?

「早期発見、早期治療」

という言葉は、
私たちにはとても馴染みがあります。

毎年の健康診断も、
「病の芽は小さなうちに摘む」
のが目的と考える人は多いでしょう。

ただ、
毎年同じ時期にやってくる健康診断を
漫然と受けているように感じるなら、

「なぜ、この検査を受けるのか」
「自分にとってメリットがあるのか」

を考えてみると、
毎年の健康診断が、
少し違ったものになるかもしれません。

 

参考資料・出典

 

1.NHS(英国国民保健サービス)「NHS Health Check」
イングランドで行われている健康チェック制度について。対象年齢や、原則5年に1回実施されることなどが紹介されています。

2.ドイツ連邦政府 健康情報ポータル「Gesundheits-Check-up für Erwachsene」
ドイツの成人向け健康チェック制度について。18~34歳、35歳以上での検査頻度や内容が説明されています。

3.UK National Screening Committee「Principles of screening」
英国におけるスクリーニングの基本的な考え方を示した資料。検査による利益だけでなく、偽陽性、過剰診断、過剰治療などの不利益も含めて評価するという原則が説明されています。

4.UK National Screening Committee「The pros and cons of screening」
スクリーニングには利益だけでなく不利益もあること、また「検査をすればするほどよい」とは限らないことを一般向けに解説した資料です。

5.U.S. Preventive Services Task Force(USPSTF)「Grade Definitions」
米国における予防医療の推奨基準について。科学的根拠と利益・害のバランスに応じて、A~Dおよび「エビデンス不十分(I)」に分類しています。

6.厚生労働省「労働安全衛生規則」第44条
日本の事業者に、常時使用する労働者への定期健康診断を原則1年以内ごとに1回実施することを定めた法令です。

7.厚生労働省「定期健康診断等の目的、項目の要件」
日本の定期健康診断が、疾病の発見だけでなく、労働者の健康状態の把握や、必要に応じた就業上の措置につなげる役割を持つことが示されています。

※各国で「健康診断」「健康チェック」「スクリーニング」の制度や目的は異なります。
本記事では、それぞれを同一の制度として扱うのではなく、予防医療に対する考え方を比較する目的で紹介しています。

2026.08.07
スタッフの日々徒然

おしりを洗う国は、こうして生まれた。


300人の実験と「43度」が変えた、日本のトイレ


いまや日本では、家庭だけでなく、
駅や空港、ホテル、商業施設でも
当たり前のように見かける温水洗浄便座。

一般世帯での普及率は約80%。
100世帯当たりの保有台数は
100台を超えています。
(2026年 内閣府 消費動向調査より)

TOTOの「ウォシュレット」だけでも、
2025年11月に国内外の累計出荷台数が
7,000万台を突破しました。

海外から日本を訪れた人が、
その清潔さや多機能ぶりに
驚くことも少なくありません。

そのため、温水洗浄便座は

「日本人のきめ細かな
 サービス精神から生まれた、
 日本独自の発明」

と思われがちです。

しかし、
その歴史をたどってみると、
物語はもう少し複雑です。

日本がゼロから
発明したわけではありません。

日本が成し遂げたのは、
海外で生まれた特殊な機器を、

誰もが毎日使う「生活文化」へと
つくり変えることでした。

その陰には、
人には話しにくい身体のデータを集め、
自ら実験台となり、

わずか0.1℃の違いを確かめ続けた
技術者たちがいました。


始まりは、アメリカの医療用便座だった


温水でおしりを洗う機器の原型は、
日本で生まれたものではありません。

1960年代初め、

アメリカの企業が
医療・介護用途として製造していた
「ウォッシュエアシート」が
日本へ持ち込まれました。

TOTOの前身である東洋陶器は、

「痔を患っている人などに
 喜ばれるのではないか」と考え、

1964年12月から輸入販売を始めます。

ところが、この製品は
ほとんど売れませんでした。

便座は日本人には小さく、
温水になるまで時間がかかる。

湯温は安定せず、
噴射する方向も
一定ではありませんでした。

輸入品のため、故障しても
修理部品がすぐには手に入らない
という問題もありました。

なお、国産初の
温水洗浄便座付洋風便器を発売したのは、
TOTOではありません。

1967年、
伊奈製陶、現在のLIXILが、

スイス製の福祉用温水洗浄便器を
日本人の体格に合わせて改良した
「サニタリイナ61」を発売しました。

1976年には、
既存の便器に取り付けられる
シート型の「サニタリーナF1」も登場しています。

つまり、
日本の温水洗浄便座は、
アメリカやヨーロッパの
医療・福祉機器を出発点として、

複数の日本企業が改良を重ねる中で
育っていったのです。


そこには、「人間のデータ」がなかった


1978年、
TOTOは温水洗浄便座を
一から自社開発することを決断します。

ところが、
開発チームは意外な問題に直面しました。

便座に座ったとき、
人のおしりがどこに来るのか。

洗浄すべき位置はどこなのか。

何度のお湯なら、
熱くも冷たくもなく快適なのか。

当時、
そのために使えるデータは
ほとんど存在していませんでした。

そこで技術者たちは、
自分たちで調べることにしました。

便座の中央に針金を張り、
座った人のおしりの位置に
印をつけてもらう。

社内で協力者を募り、
男性だけでなく
女性社員にも参加を依頼しました。

最終的に集まったデータは、
男女合わせて300人以上。

非常にデリケートな実験でしたが、
社員たちは開発チームの熱意に応え、
自らの身体をデータとして提供したのです。


「38℃」と「43度」の発見


おしりの位置が分かっても、
それだけでは快適な洗浄にはなりません。

技術者たちは、
お湯の温度を0.1℃ずつ変えながら、

実際に自分の身体に当てて
感覚を確かめました。

暑い環境や
氷点下の寒冷環境でも

正常に作動するか、
長時間にわたって試験を繰り返しました。

こうして導き出されたのが、

洗浄する温水は38℃。
便座は36℃。
乾燥用の温風は50℃。

そして、
ノズルから噴き出す水の角度は
43度でした。

なぜ、43度なのでしょうか。

この角度なら、
体格や座り方に多少の違いがあっても
洗浄したい位置へ水が届きやすく、

身体に当たって跳ね返った水が
ノズルにかかりにくいことが
分かったからです。

単に、
「お湯が当たればよい」のではありません。

当たり方、洗い心地、
衛生性まで同時に成立させる角度が、
43度だったのです。

初代開発時に導き出されたこの角度は、
その後の製品にも受け継がれました。


水と電気を、ひとつの便座に入れる

もう一つの難題がありました。

温水洗浄、暖房便座、
温風乾燥を自動で調節するには、

温度を測るセンサーと、
製品の頭脳にあたるIC(集積回路)が必要です。

しかし、トイレは水を使う場所です。

水がかかる可能性のある便座に、
精密な電子回路を組み込む。

現在では当然に思えますが、
当時としては大きな挑戦でした。

技術者たちは、
雨風にさらされながら作動する
交通信号機をヒントに、

ICを特殊な樹脂で覆って
保護する方法を
採用したとされています。

陶器、水道、電気、電子制御、人体工学。

それまで別々だった技術を、
小さな便座の中にまとめ上げる。

温水洗浄便座は、
単なる「便利なトイレ用品」ではなく、

異なる分野の技術を統合した
精密機器だったのです。


1980年、ウォシュレット誕生

1980年6月、
TOTOは初代「ウォシュレット」を発売しました。

初代製品には、

おしりを温水で洗う機能
温風で乾かす機能
便座を温める機能

が搭載されていました。

名称の「ウォシュレット」は、
「Let’s Wash」を逆に並べ替えて
作られたものです。

「洗ってみましょう」
と消費者へ呼びかけるような名前でした。

しかし、
新しい製品を完成させただけでは、
新しい文化は生まれません。

当時、
排泄やおしりの話を人前ですることには、
現在以上の抵抗感がありました。


その壁を破ったのが、
1982年のテレビ広告です。

「おしりだって、洗ってほしい。」

汚れを手につけ、
紙で拭くだけの場合と、

水で洗う場合を比較する
大胆な表現によって、

それまで人前では語りにくかった問題を、
誰もが理解できる形で提示しました。

ただし、
この広告だけで、
すぐに全国へ普及したわけではありません。

調査が始まった1992年の時点でも、
温水洗浄便座の世帯普及率は約14%でした。

半数を超えるまでには、
さらに約10年を要しています。

生活習慣を変えるには、
話題になる広告だけでなく、
実際に使い、快適さを体験し、

次に自宅を建てたり
改装したりするときに選んでもらう、
長い時間が必要だったのです。


なぜ、日本で「文化」にまでなったのか

温水洗浄便座が
日本に定着した理由を、

単に「日本人は清潔好きだから」と説明するのは
十分ではありません。

いくつもの条件が、
ちょうど同じ時代に
重なっていました。

1.水洗化と洋式化が進んだ

1960年代から1970年代にかけて、
上下水道の整備と
住宅トイレの水洗化が進み、

和式便器から
洋式便器への移行が加速しました。

TOTOでは1977年に、
洋式便器の出荷数が
和式便器を上回っています。

座って使用する
洋式便器が広がったことで、

暖房や洗浄機能を組み込んだ便座が
普及する土台ができました。

2.独立したビデではなく、便座に機能を組み込んだ

イタリアをはじめとする
南ヨーロッパの一部では、

現在も便器とは別に独立したビデを
設置する習慣があります。

一方、日本で広がったのは、
洗浄機能を便座に組み込んだ
温水洗浄便座でした。

新たにもう一つ
衛生器具を置くのではなく、

便座そのものに
機能を集約したことが、

日本の住宅へ導入しやすい形に
つながったと考えられます。

3.「洗う」以外の不快も、一つずつ解消した

日本のメーカーは、
おしりを洗う機能だけで
開発を終えませんでした。

冷たい便座を温める。
においを抑える。
使用前後にノズルを洗う。
水勢や位置を調整する。
便器の汚れを付きにくくする。
操作を分かりやすくする。

使用者が言葉にしにくい、
小さな不快や不安を見つけ、

それを機能として
一つずつ取り除いていきました。

これこそが、
「日本人的なきめ細かさ」

と呼ばれているものの
正体ではないでしょうか。

抽象的な
サービス精神ではありません。

感覚を数値にし、
不快を分解し、
改善を積み重ねるものづくりです。

4.外出先でも体験できた

温水洗浄便座は家庭だけでなく、

オフィス、商業施設、
ホテル、駅、空港、鉄道、
さらには旅客機へと

設置場所を広げていきました。

購入する前に、
職場や旅行先で実際に使える。

一度使って快適さを知ると、
自宅にも欲しくなる。

公共空間への普及が、
温水洗浄便座を

「一部の人が使う高級品」から
「付いていて当然の設備」へ変える

体験の連鎖を生んだと考えられます。

5.恥ずかしい話を、分かりやすい言葉に変えた

どれほど優れた商品でも、
人が話題にできなければ
文化にはなりません。

「おしりだって、洗ってほしい。」という言葉は、
排泄にまつわる恥ずかしさを、

清潔という誰もが納得できる価値へ
置き換えました。

技術だけでなく、
言葉によって生活習慣を変えた。

これも、
温水洗浄便座が
日本で定着した大きな理由です。


「清潔にする機械」から「健康を見守る場所」へ


温水洗浄便座は、
現在も進化を続けています。

2025年にTOTOが発売した
一部製品には、排便時に

便の形
色
量

を自動で計測し、
スマートフォンのアプリへ
記録する機能が搭載されました。

かつてのトイレは、
排泄物をできるだけ早く流し、
見えなくする場所でした。

これからのトイレは、
毎日の排泄を通じて、

自分の身体の変化に気づく場所へ
変わっていくのかもしれません。

おしりを洗う機器として
始まった温水洗浄便座が、

半世紀近くを経て、
健康を見守る機器へ
向かい始めているのです。


便利だからこそ、やさしく使う

温水洗浄便座は、
強い水勢で長時間洗えば、
より清潔になるというものではありません。

日本レストルーム工業会が
紹介している研究では、

通常の健康状態の人が
一般的な使い方をしている限り、

病気や感染症が増えるとは
確認されていません。

一方で、
洗い過ぎや、

温水を排便刺激の代わりとして
使うことには、
注意が必要とされています。

男性では、

使用者に肛門周囲のかゆみが
新たに生じる割合が高かった

という調査結果もあります。

水勢は弱めから始め、
短時間で洗い、
肛門の中へ水を入れようとしない。

毎日使うものだからこそ、
刺激の強さではなく、

身体へのやさしさを
大切にしたいものです。


日本がつくったのは、機械ではなく習慣だった

温水洗浄便座の原型は、
海外からやって来ました。

国産初の製品も、
現在「ウォシュレット」の名で知られる
TOTO製ではありませんでした。

それでも、
温水洗浄便座が

日本の“お家芸”と呼ばれるまでになったのは、
輸入した技術をそのまま使うのではなく、

日本人の身体や住宅、
生活習慣に合わせて、
徹底的に作り直したからです。

300人以上の社員が協力した
身体データ。

0.1℃ずつ確かめた温度。

洗い心地と衛生性を両立した43度。

水と電気を安全に共存させる技術。

そして、口にしにくい問題を、
誰にでも分かる言葉へ変えた広告。

そこにあったのは、
派手なひらめきだけではありません。

誰も測ったことのないものを測る。
誰も言葉にしなかった不快を見つける。
使う人の立場で、何度でもやり直す。

日本が世界に先駆けて育てたものは、
温水洗浄便座という
機械だけではありません。

「おしりを水で洗う」という、
新しい日常そのものだったのです。

 

参考資料・出典

1.TOTO株式会社「5.ウォシュレット 革新は日常へ、そして世界へ」『Challenge 挑戦の歴史|TOTOの歩み』TOTO公式サイト
公式サイト

2.TOTO株式会社『TOTO百年史 1917–2017 特別編「挑戦の先にある革新」』2017年、674~687頁、PDF
PDF

3.TOTO株式会社「ウォシュレット累計出荷台数5000万台突破――日本で育まれたトイレ文化、海外でも販売好調」2019年4月3日、ニュースリリース、PDF
PDF

4.井戸田育哉「LIXILトイレ進化論」株式会社LIXIL、2018年4月30日
公式サイト

5.TOTO株式会社「TOTOの登録商標『ウォシュレット』が『日本ネーミング大賞2020』優秀賞を受賞」2020年12月2日、ニュースリリース
公式サイト

6.内閣府経済社会総合研究所景気統計部『消費動向調査 令和8年3月実施調査結果』2026年4月、6~8頁、PDF
PDF

7.TOTO株式会社「ウォシュレット累計出荷台数7000万台突破」2025年12月9日、ニュースリリース
公式サイト

8.一般社団法人日本レストルーム工業会「統計からみる温水洗浄便座の普及」『トイレナビ』
公式サイト

9.朝倉敬子「温水洗浄便座は体に良いのですか、悪いのですか?」一般社団法人日本レストルーム工業会『トイレナビ』
公式サイト

10.一般社団法人日本レストルーム工業会「温水洗浄便座の使用上のご注意について」2013年9月26日、『トイレナビ』
公式サイト

※上記Web資料の最終参照日:2026年8月4日


参考図書

林 良祐『世界一のトイレ ウォシュレット開発物語』朝日新聞出版、2011年。

※「ウォシュレット」はTOTO株式会社の登録商標です。
 本記事では、TOTO株式会社の商品を指す場合は「ウォシュレット」、製品の種類を一般的に表す場合は「温水洗浄便座」と表記しています。

※上記Web資料の最終参照日:2026年8月4日

2026.07.30
スタッフの日々徒然

朝食を抜くと、昼食後の血糖値が急上昇する?



「朝食を抜くと、
 昼食を食べたときに
 血糖値が急上昇すると聞きました。

 半日断食をしていても
 大丈夫なのでしょうか?」

以前、お客さまから、
このようなご質問をいただきました。

三保製薬研究所では、
前日の夕食から翌日の昼食まで食事をとらない
「半日断食」という食習慣をご紹介しています。

だからこそ、
今回のご質問は避けて通れない、
とても大切なテーマです。



朝食を抜くと、昼食後の血糖値は上がりやすくなる?



まず、研究結果から見てみましょう。

2019年に、
広島大学を中心とした研究グループが、
若い健康な日本人男性9名を対象に、

「朝食を食べる日」
「朝食を食べない日」

を比較した研究があります。

昼食と夕食には、
どちらの日も同じ内容と量の食事をとり、
24時間にわたって血糖値の動きを測定しました。

その結果、

朝食を抜いた日は、
朝食を食べた日と比べて、

昼食後の血糖値が
明らかに大きく上昇しました。

昼食後の血糖値の上昇幅は、

朝食を食べた日 約41mg/dL
朝食を抜いた日 約81mg/dL

と、およそ2倍になっています。

さらに、
24時間の平均血糖値には
有意な差がなかった一方で、

一日の血糖値の振れ幅も、
朝食を抜いた日に
大きくなっていました。

急激な食後血糖の上昇を
気にしている方にとっては、
見過ごせない結果でしょう。


では、半日断食はやめたほうがいい?

ここで、
もう一つ大切なことがあります。

この研究で調べられたのは、

「朝食を一回抜いたとき、
 その日の血糖値がどう動くか」

という急性的な変化です。

一方、
近年研究されている「時間制限食」は、

計画的に毎日の食事を
一定の時間帯にまとめ、

食べない時間を
長く設ける食事法です。

2026年に発表された、
計2,287人が参加した
41件の研究を分析した結果では、

時間制限食を一定期間続けることで、
通常の食生活と比較して、

・体重
・腹囲
・空腹時血糖
・空腹時インスリン
・中性脂肪

など、複数の代謝指標に
改善がみられています。

つまり、

「朝食を抜くと、
 昼食後血糖が上がる」
と、

「計画的にとり入れる時間制限食が、
 代謝指標を改善させる」
は、

どちらも
矛盾なく起こり得るのです。


昼食後の血糖上昇を無視してよいわけではありません



ここは、
半日断食をご紹介している私たちも、
大切にしたいところです。

朝食を抜いて
強い空腹状態になり、

「お腹が空いたから大盛りの丼」
「ラーメンとチャーハン」
「菓子パンと甘い飲み物」

といった糖質中心の食事を
一度にたくさん食べれば、

当然、
食後血糖は急上昇しやすくなります。

意識したいのは、
長い空腹時間のあと、

最初に何を、
どのように食べるかです。

「半日断食をしているから、
 昼食は好きなものを
 好きなだけ食べていい」

ということではありません。


半日断食後の昼食で意識したいこと



まず、
空腹だからといって、
一気にたくさん食べないこと。

そして、
ご飯、パン、麺などの
糖質だけで食事を済ませず、

野菜、魚や肉、大豆製品などを組み合わせ、
一食として整えることです。

食べる順番もひと工夫できます。

日本の健常成人を対象にした研究では、
米飯よりも野菜サラダを先に食べた場合、

食後の血糖値の最高上昇幅が平均21%低く、
食後2時間までの血糖上昇の総量も
平均39%低くなりました。

2型糖尿病患者を対象にした研究でも、
複合料理の前に野菜を食べることで、
その後の血糖上昇が抑えられています。

半日断食後の最初の食事だからこそ、

野菜や主菜を取り入れ、
糖質だけを一気に食べず、
ゆっくり食事をする。

この小さな工夫が大切です。


実は「夕食」も大事

時間制限食の研究が進むにつれ、
「食べる時間」も
重要であることが分かってきました。

前述した2026年の解析では、
時間制限食全体に
代謝面でのメリットがみられた一方、

食事時間を
一日の早い時間帯に設定した方法のほうが、
遅い時間帯に設定した方法より、

体重や空腹時インスリンなどで
良好な結果となりました。

これは、
半日断食を考えるうえでも
重要な示唆です。

「朝食を抜くこと」
だけを目的にするのではなく、

夜遅い食事を避け、
翌日の昼食まで
一定の空腹時間をつくること

が大切です。


半日断食をする時こそ、「食べ方」を考える



今回ご紹介した研究から
私たちが学べるのは、

朝食を抜いたあとの昼食では、
血糖値が上昇しやすくなる可能性がある。

だからこそ、
「断食していない時の食べ方」を大切にする。

ということです。

食べない時間を意識して設けるなら、

その前の夕食は遅くしすぎない。
空腹の反動で食べすぎない。
断食後の昼食を糖質だけにしない。
野菜や主菜を組み合わせる。

こんなことを工夫してみては
いかがでしょうか。



ご注意

半日断食は、
すべての方に適した食事法ではありません。

・糖尿病の治療中
・インスリンや血糖降下薬を使用中
・妊娠・授乳中
・成長期
・低体重
・その他疾患の治療中

である場合、
食事を抜くことで

低血糖や栄養不足などに
つながる可能性があります。

食事回数や食事時間を大きく変更する場合は、
主治医や管理栄養士等にご相談ください。


参考資料

1.緒方 瞳ほか(2019)
「健康な若年者における朝食欠食と昼食後高血糖との関連」
『British Journal of Nutrition』

2.国立健康・栄養研究所

「朝食欠食は昼食後の血糖の急上昇を引き起す?」
『健康・栄養ニュース 第64号』
上記研究の内容を日本語で分かりやすく紹介した資料。

3.日本糖尿病学会誌『糖尿病』
「低Glycemic Index食の摂取順序の違いが食後血糖プロファイルに及ぼす影響」
健常成人を対象に、野菜と米飯を食べる順番による食後血糖の違いを検討した研究です。

4.日本糖尿病学会誌『糖尿病』
「2型糖尿病患者における野菜の摂取順序が食後血糖値に及ぼす影響―複合料理を用いて―」
野菜を食事より先に摂取した場合の食後血糖への影響を検討しています。

5.時間制限食のタイミングと代謝指標に関する系統的レビュー・ネットワークメタ解析
『BMJ Medicine』2026年
41件のランダム化比較試験、2,287人を対象に、時間制限食の効果と食事時間帯の違いを解析した研究です。

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プロフィール

花澤 久元
  • 誕生日:1946年11月6日
  • 血液型:O型(Rh+)
  • 趣味:スイマグ造り卒業、もっか青汁作り
  • 自己紹介:
    母親に首根っこつかまれて飲んでいたスイマグとの付き合いも早70年。
    起きがけのスイマグ飲用を忘れず、青汁作りに精を出し、夕食を待ちこがれる”マイナス腸活”を楽しんでいる。
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